自転車で消費するカロリー
はじめに
夏に始まった私の自転車通勤ですが、もう冬です。
最近寒さで体が硬いのか、思うようにスピードが出ません。
冬場はスピードが落ちるのか?
「自転車と力学」というサイトを参考にして、原因を考察しました。
http://hamakazuchan.la.coocan.jp/bicycle/bicycle7.html
⓵向かい風
会社から自宅まで北上し帰りますが、微風の北風で向かい風です。
1m/sの微風向かい風でも、3.6km/hの減速となります。
②空気密度の違いによる抵抗
湿度が高い夏と乾燥した冬では空気密度が15%位違い、冬場の空気抵抗が大きくなります。
これで1km/hの減速となります。
③タイヤの摩擦抵抗の増加
新品時の接地幅は狭かったですが、半年ほどで、14mm位に広がっています。
週1回は空気を入れ、5bar程度をキープしていますが、地面との摩擦抵抗が増えているのでしょう。
消費エネルギの計算
荒川左岸下流での消費カロリーをシュミレーションしました。
河川は平坦ですが、時々土手を登り、車止め部で減速加速を繰り返します。
その結果、3時間の消費カロリーは1491Kcalです。消費カロリーの計算にはMETS数を使った簡易計算があります。
驚いたことに1489Kcalと一致した結果となりました。すごくないですか?
空気抵抗が最も大きい
自転車で消費するエネルギーは、路面抵抗と空気抵抗に打ち勝つエネルギーと、発生する位置エネルギーと運動エネルギーになります。
20km/h走行時でも、空気抵抗に打ち勝つエネルギーが一番多く、次いで路面抵抗です。
この2つで全体消費エネルギーの90%を占めます。
季節ごとの空気密度の違い
曇天の夏場(温度34℃、相対湿度80%、気圧980hPa)の湿り空気密度は1.09kg/m3です。
また乾燥した冬場(温度4℃、相対湿度30%、気圧1020hPa)の湿り空気密度は1.28kg/m3です。
その密度差は15%で、その分冬場の空気抵抗が多く、消費エネルギーが増えます。
同じエネルギーだと、冬場は空気が重く、20km/h時に、速度1km/h分遅くなります。
風の抵抗はとても大きい
追い風2m/s時、無風時と向かい風2m/sの抵抗エネルギを比較しました。
その結果10倍違う結果となりました。
2m/sの風は微風と思っていましたが、時速7km/hとなり、とても大きな抵抗となります。
速度差の抵抗も、とても大きい
速度10km/hから3倍速いと、空気抵抗は実に20倍となります。空気抵抗は速度の3乗に比例するからです。
全体の大きなウエイトを占める空気抵抗を少なくするには、前傾姿勢で投影面積Aを減らすことが一番重要で、可能な対策だとわかりました。
体を流線形にしたり、肩幅を狭くすることは難しいでしょうから。
プロの競技選手では、なで肩の人が有利ですね。
また、空気抵抗係数Caは、形状係数なので、スクータやバイクの透明シールドを付けると抵抗は少なくなります。
ロードバイクでつけている人は見たことがありませんが、間違いなく効果はあると思います。
高度差をかせぐエネルギーはそれほど大きくない。
傾斜5%坂を5km/hと10%坂を10km/hで登る場合は、明らかに後者の方が負荷は大きいのですが、位置エネルギで考えると同じ値となります。
また、高度1000mの坂を1時間で登るエネルギーは、平地で3時間、20km/hで走行することと同じ位です。
明らかに登り坂の方が苦しいですが、何故でしょうか?
坂を登るためには、筋肉の収縮という無酸素運動だからのようです。
路面抵抗の対策
自転車の性能(機械機構ロス、タイヤ幅、車重)に負うことが大きいですが、体重減や積載質量を少なくすることと、タイヤ空気圧を高くすることは我々にできる対策です。
現状重さ10kgのクロスバイクに乗っています。7kgの軽量のロードバイクに数十万円費やすのと、3kg分ダイエットするのでは、どちらが効果的ですか?
計算結果詳細
Excelで計算した結果です。興味ある方は参考にしてください。
自転車による消費エネルギー(荒川左岸サイクリングロードでのシュミレーション)
1.路面との摩擦抵抗
Pf=Vb*Cf*m*g
Pf: 摩擦抵抗に打ち勝って走行する動力 33 W
Vb: 速度 20 km/h
Cf: 路面との摩擦抵抗(-) 0.007
m: 全質量 自転車+体重+α= 87 kg
g: 重力加速度(=9.8m/s2)
Ta: 運転時間 3 hr
Ef: エネルギー 85.5 Kcal
1W=1J/S=1kgm2/s3
2.空気抵抗
Pa=1/2*Ca*A*ρ*(Vb+Vw)^3
Pa: 空気抵抗に打ち勝って走行する動力 66.3 W
Ca: 空気抵抗係数=0.9
A: 自転車と人の前面投影面積0.67m2 (0.82*0.82m)
ρ: 空気密度 1.282kg/m3
Vw: 風速(向かい風正、追い風負)0m/s
Ea: エネルギー 171 Kcal
3.位置エネルギーの増加(上り坂)
Pp=m*g*Hg*Vb/√(100^2+Hg^2)
Pp: 位置エネルギーを高めるのに必要な動力 118.3 W
h: 坂の高さ 10m
Vb: 坂を上る速度 10km/h
Hg: 水平距離100mで高さHgまでの勾配 5%
N: 坂の数 10
T: 坂を上る時間 72S
Ep: エネルギー 20 Kcal
4.運動エネルギーの増加(加速)
Pk=m/(2Tk)*(V2^2-V1^2)
Pk: 加速に要した動力 267W
Tk: 加速に要した時間 5s
V1: 減速時の速度 1km/hr
N1: 加速回数 20
Ek: エネルギー 6.4 Kcal
5.動力伝達機構の効率 η= 0.95
6.人間の効率 ηb= 0.2
7.必要な全エネルギー
Et=(Ef+Ea+Ep+Ek)/(η*ηb) 1491 Kcal
8.METSとの比較
METS数(16-19km/h時) 6.8
METS消費エネルギー=体重*METS数*運動時間 1489 Kcal
計算は、参考サイトに従いました。
CGS単位系をMKS単位系とし、人間の効率を0.25を0.2にした以外は同じです。