一度だけホールドアップ
入社3年目に、アメリカへ1か月間出張の機会がありました。提携会社の人と合計4人で、ペンシルバニア州エリーという町で技術導入のトレーニングを受ける目的です。若い私は運転手要員でした。
夕方は毎日相手先の接待で、ご馳走を食べ、エリー湖のヨットの上でたらふくビールを飲んだせいか、真っ黒に日焼けして、1か月で10kg太り、帰国後、先輩や同僚からひんしゅくを買いました。
さて、住宅街にあるレンストランで、毎夜の食事後、日本人4人でホテルまで戻ろうと車を運転していた時です。小さな交差点で、徐行しながら直進しようとしたら、前から警察官2人に停車を命じられました。その時何杯かビールを飲んでいましたが、当時は、数杯のお酒であればアメリカでは許容範囲と聞いていました。代行運転なんてないので現地の人もレストランで飲食後、車で帰って行きます。
怪しいアジア人が4人、酒臭い車内にいたせいでしょうか、警官から全員降車しろと言われ、拳銃を向けられました。全員車に両手をつけた格好で、拳銃を持ってないか身体検査されます。嫌疑は交差点の一旦停止の標識を見落としたということです。日本でもそうですが、標識を見落としそうな場所で、警察官が見張っていたのですね。私が国際免許証を見せると、急に面倒くさそうな態度になり、無罪放免となりました。
後にも先にも、拳銃を向けられたのは初めてで、二度と経験しないことを願うばかりです。翌日この話を話したら、現地の人の車には護身用としてピストルを、ダッシュボード内には回転式拳銃を、トランクにはライフル銃と三丁入れていると言われびっくりしました。
その後、日本の高校生がハロウィンで他人の家をノックし、住人からフリーズ(止まれ)とプリーズ(どうぞ)を勘違いしたのか、近寄り射殺された事件が無罪判決というニュースもありました。アメリカの銃社会の深刻さを実感しました。